MONO 語り 2 / Infinity
そうして、だらしない眠りが毎日の午後になると襲ってきて
不眠が辛かった長い年月のことを、かえって『まし』なこと
のようにさえ感じるようになってきた。
それなのに、どうやらぼくは、安眠しているのではないらしい。
ふと気がつくと、彼女の二本の指が、ぼくの眉間に触れられていた。
ありがちに眉間に皺を寄せて眠っているらしく、
彼女はその縦に並ぶ
二本の皺を伸ばしてくれていたのだった。
『ヒトって、その表情で印象の善し悪しが決まるからさぁ。
眉間の皺、伸ばしてあげてるのよ....』
二本の皺が薄くなるまで、彼女の二本の指は
ゆっくり
ゆっくり、ぼくの眉間を行き来していた。
『ほら!皺が消えたよ。』
とても嬉しそうに、彼女の声が優しく響いた。
それでも、まだ
ぼくはけだるい眠さから解放されきらず、そればかりか
最近、すこしづつ
わけのわからない痛みが身体中をかけめぐるのを、いぶかしく思っていた。
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